歌舞伎には多くの古典的名作があり、その歴史は400年以上になります。それゆえに歌舞伎に対して「格式高そう」「伝統的芝居で難しそう」というイメージを持つ方も多いのではないのでしょうか?
そんな中、近年では『ONEPIECE』や『FF10』『風の谷のナウシカ』などの人気作品が歌舞伎化されたことで「新作歌舞伎」に注目が集まっています。
今回は、「スーパー歌舞伎」や「バーチャル歌舞伎」とも呼ばれる「新作歌舞伎」について解説していきたいと思います!
新作歌舞伎とは?
新作歌舞伎とは、歌舞伎作品中の一分野で、主に第二次世界大戦後に創られた作品のことを指します。歌舞伎の根本には「常に時代に即した新しいものを取り入れる」という精神があり、新作歌舞伎では、新作を古典的手法で演じたり、古典的名作を現代的手法で新たな作品に再創造したりすることで、現代の人にも楽しめるようになっています。
作品の種類も様々で、新作なのに演技や言葉が古典的だったり、過去の作品を現代に合わせて創り直したり、絵本やアニメを原作にしたものなどがあります。
どんな作品がある?
新作歌舞伎にも様々な作品があります。
歌舞伎十八番を新たな構想で描いた『壽三升景清』といった古典的作品はもちろん、絵本を歌舞伎にした『あらしのよるに』、漫画を歌舞伎にした『スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース』など、多岐に渡っています。
また、2023年春には人気ゲーム『FF10』も歌舞伎化する予定もあり、歌舞伎の進化はまだまだ続いています。
歌舞伎の「継承」と「創造」
こうした歌舞伎の進化は、「継承」と「創造」によって生まれています。
歌舞伎の古典演劇としての魅力は、伝承された演出や演技を学び、先人たちの精神を次世代の役者が受け継ぎ、また磨かれることで「継承」していきます。
そうして磨いた演技を、自らの演技として「創造」することで、歌舞伎は進化していくのです。
歌舞伎×○○!様々なコラボレーションが実現
「継承」と「創造」によって編み出される表現は、演技や演出だけではなく多様な「場」でも上演されています。幕張メッセで開催されたバーチャルシンガー初音ミク出演の『超歌舞伎』や、代々木体育館の氷上で行われた『破婆羅』など、これまで歌舞伎に関心を寄せていなかった客層を魅了しました。
さらに、2023年には人気ゲーム『ファイナルファンタジー10』が、尾上菊之助による演出で歌舞伎化され、アジア初の没入型劇場のIHIステージアラウンド東京での公演が予定されています。
最後に
「継承」と「創造」によって、歌舞伎は常に進化を続けています。私たちも歌舞伎に対する「伝統的で難しそう」というイメージを刷新していく必要があるのかもしれません。来春上演予定の『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーⅩ』も含めて、今後の歌舞伎の進化にも注目していきたいです!